社会保障

高額療養費制度のしくみや利用方法

医療費が思わぬ高額になってしまったときに、頼りになるのが「高額療養費制度」です。

公的な制度のひとつとして、医療費による経済的な負担にある一定の歯止めを設けるしくみで、その利用にはふたつの方法があり、事前に申請して窓口での負担を軽減するか、もしくは治療後に申請することにより払い戻しを受けることができます。

■もくじ(ページ内リンク)

高額療養費制度のしくみ

【対象外となる費用】

【対象期間について】

【自己負担額の世帯合算】

【高額の負担が多数月により該当した場合】

【上限額の計算方法】

【手続き方法】

まとめ

高額療養費制度のしくみ

公的な医療保険として、勤務先での健康保険組合や自治体の国民健康保険に加入しているかと思いますが、利用方法はご存知の通り医療機関にかかった際に保険証を提示することにより、負担割合に応じて支払う医療費の支払いが軽くなります。

その軽減を利用していても、入院や頻繁な通院などにより医療費が高額になってしまうこともあるかと思います。そんなときにさらに負担を軽減してくれるしくみが、高額療養費制度なのです。

※公的な医療保険制度のおもな保障内容一覧

健康保険 国民健康保険
加入対象者 会社員など 自営業者や専業主婦など
自己負担 6歳(義務教育就学前)・・・・・・・・・・・2割
義務教育就学後~70歳未満・・・・・・・・・3割
70歳以上・・・・・2割 (現役並み所得者は3割)
高額療養費 収入に応じて上限額が設定され、超えた分は払い戻しがある
傷病手当金 休業4日目より標準報酬日額の
2/3が支給される
なし

【対象外となる費用】

利用する際の注意点としては、健康保険が適用されるものしか合算できず、給付を受けることはできません。
入院時にかかる差額ベッド代や食事代、病院までの交通費、その他にも治療によっては保険適用外となる先進医療費や自由診療なども、対象外となります。

※自由診療とは・・・厚生労働省が承認していない治療や薬を使用した場合に、健康保険が適用されない診療のこと。未承認の抗がん剤などを使用した場合は全額自己負担となります。

【対象期間について】

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、月の1日~末日までに一定額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻されます。

1カ月の上限額は1日~末日までのくくりとなるため、月をまたいでの治療は合算できずにひと月ごとの申請となりますので、例えば当月15日~翌月14日までの1カ月間の治療を受けていれば、15日~末日までと1日~14日までの半月ごとに、上限額を超えた場合のみ支給を受けることができます。

なお、高額療養費の請求できる期限は2年間となりますので、消滅時効にかかっていなければさかのぼって請求することも可能です。

【自己負担額の世帯合算】

年齢や収入によってご自身の自己負担する上限額は定められていますが、世帯で同じ医療保険に加入している複数の方が、それぞれ同月に医療機関にかかった場合には、条件を満たすことで支払った金額を合算して申請することができ、その合算した金額が上限額を超えた場合に、超過した分が戻ってきます。

■70歳未満の方の受診は、自己負担額21.000円以上の場合のみ合算できます。
■70歳以上の方であれば、自己負担した額をすべて合算することができます。
■75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入しているため、75歳以上同士でのみ合算できます。

【高額の負担が多数月により該当した場合】

高額療養費として払い戻しを受けた月数が、直近の12カ月間で3月以上あったときには、4月目から自己負担の上限額がさらに引き下げられます。
治療が長引いたときには、たとえ上限額が定められていても何度も重なれば支出は大きくなりますので、非常に助かる軽減措置です。

【上限額の計算方法】

いくらまで自己負担するのかという上限額は、下の表で調べることができます。
70歳未満と70歳以上で分けられており、ご自身の該当する年収にあてはめて計算をします。

〈70歳未満の方〉平成27年1月より

 所得区分  ひと月あたりの
自己負担限度額
 多数回該当(4月目以降)
 年収約1.160万円~
健保:標準83万円以上
国保:年間所得901万円超
 252.600円+
(医療費-842.000)×1%
 140.100円
 年収約770~約1.160万円
健保:標準53万円~79万円
国保:年間所得600万~901万円
 167.400円+
(医療費-558.000円×1%
 93.000円
 年収約370~約770万円
健保:標準28万円~50万円
国保:年間所得210万~600万円
 80.100円+
(医療費-267.000円)×1%
 44.400円
 ~年収約370万円
健保:標準26万円以下
国保:年間所得210万円以下
 57.600円  44.400円
 住民税非課税者  35.400円  24.600円

〈70歳以上の方〉※外来だけでの上限額もあり

所得区分  1カ月の負担上限額  多数回該当
(4月目以降)
 外来(個人ごと)
 現役並み所得者 80.100円+(総医療費-267.000円)×1%  44.400円
 一般  12.000円  44.400円  適用なし
 低所得者(住民税非課税の方)  Ⅱ(Ⅰ以外の方)  8.000円  24.600円   適用なし
 Ⅰ(年金収入のみの場合、年金受給額80万円以下など、総所得金額が
ゼロの方)
 15.000円

例えば70歳未満で年収500万円の世帯主が病気になり、医療費として100万円かかったとします。

窓口の負担は3割ですので、自己負担は30万円となりますが、上の表を見てみると
80.100円+(医療費-267.000円)×1%
が自己負担上限額であることがわかります。

80.100円+(1.000.000円-267.000円)×1%=87.430円・・・自己負担上限額
窓口で支払った300.000円-自己負担上限額87.430円
=高額療養費として払い戻しされるのは、212.570円となります。

さらに、同じ健康保険に加入しているご家族で、同月の医療費の自己負担額が21.000円を超える場合には、上記の医療費と合算して申請することができます。

(例) 同世帯のご家族が、通院などにより医療機関で5万円の自己負担を支払っていた場合

80.100円+(1.050.000円-267.000円)×1%=自己負担上限額87.930円
窓口で支払った350.000円-自己負担上限額87.930円
=合計262.070円
の払い戻しを受け取ることができます。

実際に計算をしてみると、負担軽減の効果は大きく、手厚い保障制度なのがわかりますね。

【手続き方法】

高額療養費制度を利用するには、加入している公的医療保険の窓口へ申請し手続きを行います。
「限定額適用認定証」または「限度額適用認定・標準負担額減額認定証」を交付してもらうことによって窓口での支払いを上限額までに抑える方法と、一旦は医療機関へご自身で支払い、限度額を超えたら後ほど申請することによって、多く払った分を払い戻してもらう方法があります。

万が一治療にあたり医療費が高額になりそうだな、と感じたときには、加入している健康保険の窓口へ問い合わせてみてください。事後申請の場合には、払い戻されるまでに少なくとも3カ月程度かかりますので注意が必要です。

まとめ

入院や手術を受けたりすると、医療費の支出は金額も大きくなりがちで、精神的にも経済的にも負担になってしまいますよね。そんな時、金銭的な支援が受けられるはとても心強いですね。

ただ、高額療養費制度を利用しても、ある程度の出費は出てきてしまいます。また、入院や手術を受けると一定期間療養が必要になるケースが多く、休職を余儀なくされることも考えられます。休職中は収入がなくなってしまうため、できる限り出費は抑えたいですよね。医療保険に加入しておくと、所定の手術や入院をされたときに保険金を受け取ることができるので、万一の時の負担を抑えることができます。高額療養費制度を活用しつつ医療保険で備えておくこと、いざという時の金銭的負担を最小限に抑えることができますので、医療保険への加入をおすすめいたします。

また、高額療養費制度では、先進医療でかかった医療費は対象外となってしまいますので、先進医療を受ける場合は高額な医療費を全額ご自身で支払わなくてはなりません。先進医療の主な技術料は先進医療の特徴と治療費についてでご確認いただけます。先進医療保障つきの医療保険もありますので、保険料とあわせてご自身に合った保険をご検討になってみてはいかがでしょうか。

ご自身の年齢で医療保険の保険料をご確認されたい方は医療保険比較サイト「i保険」をご覧ください。

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この記事を書いた人

奥寺 佳彦

株式会社アイ・エフ・クリエイト

日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(AFP)